公益法人税制

公益法人税制

 公益法人の税制についてまとめました。以下はその内容です。

①新たな公益法人制度

・新たな公益法人制度では、公益法人は一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益法財団法人の区分になります。一般社団法人・一般財団法人は、会社法上の法人と同様に、登記するだけで誰でも設立でき、準則主義がとられるようになりました。この一般社団法人・一般財団法人が公益認定を受けることによって、公益社団法人・公益財団法人となります。
・既存の社団法人・財団法人は法律施行後5年間の移行期間が終了するまでの間に、公益認定を受けて公益社団法人・公益法財団法人に移行するか、認可を受けて一般社団法人・一般財団法人に移行しなければなりません。その間は特例民法法人という扱いになります。この特例民法法人が認可を受けて一般社団法人・一般財団法人になる場合、公益目的財産残高を公益目的に支出し零にする公益目的支出計画を作成し実施しなければならないことになっています。
・中間法人制度は一般社団法人制度に統合されます。

②収益事業課税制度

法人税の納税義務を収益事業(34項目が限定列挙されています)を営む場合のみとしている収益事業課税制度の適用の有無や法人税の税率等については以下のようになっています。
・特例民法法人:収益事業のみ課税、法人税率22%
・公益社団法人・公益法財団法人:収益事業のみ課税(収益事業から公益目的事業に該当するものが除外されている)、法人税率30%(800万円以下は22%)
・一般社団法人・一般財団法人
非営利一般法人(剰余金や残余財産の分配を行わない一般社団法人・一般財団法人):収益事業のみ課税、法人税率30%(800万円以下は22%)
非営利一般法人以外:全所得課税、法人税率30%(800万円以下は22%)
・NPO法人:収益事業のみ課税、法人税率30%(800万円以下は22%)

③みなし寄付金制度

みなし寄付金制度とは、法人内部で収益事業から公益目的事業への支出をあたかも外部への寄付金とみなして、一定額までの損金算入を認める制度です。税制改正後の損金算入限度額は以下のとおりです。
・公益社団法人・公益財団法人:所得の50%か公益目的事業への支出金額のいずれか多い金額
・特例民法法人:所得の20%
・認定NPO法人:所得の20%

④寄付金税制の改正

・特定公益増進法人の範囲に公益社団法人・公益財団法人が加えられました。
・特定公益増進法人に対する寄付金の損金算入限度額の計算で所得基準額が2.5%から5%へと引き上げられました。
  寄付金の損金算入限度額
(所得金額×5.0/100+資本金等の額×月数/12×2.5/1,000)×1/2
・公益法人等に対して財産を寄付した場合の譲渡所得等の非課税の特例については、剰余金の配当等を行わない非営利一般法人も追加されています。