債権回収で最低知っておくべきこと

債権回収について

債権管理・債権回収について記載いたしました。企業にとって、営業も重要ですが、販売後の債権を回収する作業もとても重要です。販売して売掛金が回収できなければ、損失になってしまい、販売しなかった方がよかったことになってしまいます。今まで債権管理の重要性についてあまり考えてこられなかった方は、債権管理、債権回収の仕組みを構築しておくことが重要な事項であることをまず認識することからはじめていただければと思います。

債権管理について

○取引を行う際に、多額の信用取引を行う場合は、必ず取引先の信用調査を行わなければなりません。取引先の信用調査を行い、どのくらいの金額まで取引していいのかの自社内の審査の基準を設けるべきです。その際には、企業をAからEまで5段階で評価するというように評価の基準と、評価ごとにどのような取引限度額を決めるのかの基準を決めることになります。

○信用調査の方法としては以下の方法が考えられます。一つの情報では確かではないので、いくつかの情報を入手して総合的に判断します。
・商業登記簿謄本による調査(役員が最近かわっていないか等の情報)
・不動産登記簿謄本による調査(会社と役員の不動産にどのよう担保が付いているか)
・帝国データーバンク等の興信所の情報
・金融機関からの情報
・取引先からの情報
・営業担当の情報

○売掛債権の管理をしっかり行い、もし滞留債権が発生した場合には、どの得意先が何カ月滞留しているかを把握しておき、必要に応じて取引を停止するか、現金取引のみに切り替える等の判断をしなければなりません。

◯払ってくれないところに売っても仕方がないので、債権回収も意識した営業を行うことが重要です。常に得意先の状況に気を配り、貸し倒れが発生しないように営業担当に意識づけさせるようにします。

債権回収について(1)

○債権回収は、訪問し支払の催促を何度もすることが基本です。何度も訪ねて来られるのはいやなものですし、催促のうるさい債権者の方から支払っていくものです。払うべきものを払わない方が悪いのですから、どうどうと催促することが大切です。それでも、支払ってくれない場合には、法的手段で債権を回収することを検討します。

○日頃の業務の中でいざという時のために、債権回収しやすいような準備(証拠づくり)をしておくことが望ましいと考えられます。
 ・滞留債権先には、債権回収の際に、お金が回収できなくても債権残高の証明をもらうようにしましょう。債権の承認は、債権の時効を停止させる効果があり、また、債権回収の際、金額で争うことがなくなるので、相手側の抗弁事由がなくなります。
 ・基本契約書を結び、支払期日の明確化、違約金条項、期限の利益喪失条項、裁判所管轄条項等の債権回収に有利な条項を基本契約書に入れておくことができると、債権回収が有利に展開できます。

債権回収について(2)

○債権が回収できないまま放っておくと消滅時効の期間を過ぎてしまい時効を援用されて権利を失うことになります。権利は積極的に守らないと消滅してしまうのです。権利を守るためには、時効を中断させなければなりません。時効を中断させるには、債務の承認、裁判上の請求などを行わなければなりません。まず、債務の承認です。債権残高の証明をもらうことで時効を中断させることができます。

  ・債権の消滅時効
     商事債権:5年
     生産者、卸売人等の債権:2年
     工事の設計、施工・管理等の業務に関する債権:3年
     など

債務の承認がもらえない場合、時間の経過で時効で権利を失ってしまうので、時効までに裁判上の請求(訴訟等)を行うことになります。訴訟等に勝てば債務名義(強制執行をするための条件)を取ることができるので、差し押さえできる物があれば、債権の回収ができるようになります。

○債権回収の方法には、以下の方法で債務名義(強制執行をするための条件)を取って
  から強制執行をすることが考えられます。

・支払催促
・民事調停
・即決和解
・公正証書
・少額訴訟

債権回収について(3)

○強制執行
・当座預金の口座番号等を把握してあれば、それを差し押さえます。口座が動かないと商売ができないので、支払ってくれる可能性が高くなります。
・差し押さえることができる資産があるかどうかをあらかじめ調べておき、それを差し押さえることになります。